デシベルメーター

Sound Decibel Meter の使い方:全機能ガイド

このページは、本サイトの ブラウザ騒音計 のすべての機能を、30 秒で取れる初回測定から、ほとんどの利用者が触れずに終わる詳細設定まで、ひととおり解説するガイドです。本ツールはブラウザ内で完結し、インストールもアカウント登録も不要、マイクへのアクセスもセッション中に限られます。最後まで読み終えると、ライブ表示の読み方、状況に応じた周波数・時間重み付けの選び方、Class 2 の参照計から数 dB 以内に追い込むキャリブレーション手順、そして「この読みを根拠に聴力に関する判断を下してよい」と言える程度に値を信頼するための知識が身についているはずです。

時間が 1 分しかない方は クイックスタート へ。全体像が知りたい方はそのまま順に読み進めてください。

クイックスタート

  1. トップページ を開き、スタート をクリック。
  2. マイクの使用許可を出す。 ブラウザがプロンプトを出します。録音もアップロードも一切行いません。技術的な詳細はプライバシーの節に。
  3. 画面中央のライブ値を読む。 表示は 1 秒に数回更新されます。表示されている数値は A 特性、Fast 時間重み付けの SPL です。

初回測定としてはこれで十分。残りのページは、その測定をより正確にする方法、持続的な暴露を記録する方法、公開されている健康・規制基準と照らして読みを解釈する方法を扱います。

マイク許可とプライバシー

本計器がマイクを読み取るには getUserMedia の許可が必要で、初回起動時にブラウザがプロンプトを出します。本サイトの実装には、押さえておきたい性質が 2 つあります。

  • 音声処理はすべてローカルで完結します。 ブラウザ内の JavaScript と Web Audio API だけで動きます。PCM サンプル、FFT フレーム、派生した数値 — そのいずれもサーバーに送信されません。サイト側に音声分析エンドポイントが存在しないのは、サーバーサイドで音声処理を一切行っていないからです。
  • HTTPS が必須です。 平文 HTTP のページに対して、ブラウザはマイク許可を発行しません。本サイトは標準で HTTPS を使い、HTTP リクエストはリダイレクトされます。

マイクのアクセス権はいつでも取り消せます。Chrome / Edge / Brave / Firefox ならアドレスバー横の鍵アイコン、Safari ならカメラアイコン、あるいはブラウザ設定からサイトの権限をクリアします。タブを閉じれば、その瞬間にマイクは解放されます。

社内ネットワークや管理対象端末で getUserMedia がブロックされている場合、「マイクが検出されません」と表示されます。サイト側で回避する方法はありません。個人端末を使うか、IT 部門にポリシーの例外を依頼してください。

表示の読み方

メイン画面には複数の値が同時に出ています。「大きな数字とその下のいくつかの小さな数字」のように見えますが、それぞれが別の情報を持っています。

現在の値(中央の大きな数字)

中央の大きな数字は、この瞬間の時間重み付け SPL です。「この瞬間」の意味は、時間重み付け(Fast 125 ms / Slow 1 s / Impulse 35 ms — 後述の時間重み付けを参照)と周波数重み付け(A / C / Z — 周波数重み付け参照)で定義されます。デフォルトは A 特性 + Fast。環境騒音と職業性騒音のほぼすべての測定に、この組み合わせが正解です。

数値の色は、それが落ちている帯域を反映します。緑は快適、アンバーは「うるさいが暴露時間を絞れば安全」、赤は危険。色の対応は、計器の下に表示される リファレンスチャート と同じ閾値で揃えています。

Min / Avg / Max / Peak

現在値の下に並ぶ 4 つの小さな数字は、最後に スタート(または リセット)を押してから現在までの セッション統計 です。

  • Min — 観測された有効な最低値。起動直後はシステムノイズフロアに張り付かないよう、短い助走時間を経てから Min の追跡を始めます。
  • Avg — 全測定値の算術平均。騒音がそこそこ安定していれば Leq の簡易代用として有用。変動騒音の真の Leq は 測定のコツ を参照。
  • Max — 観測された最高値。Fast では持続的な大音量イベントを、Impulse なら一瞬の事象(銃声、ハンマー打、ドア閉め)を捉えます。
  • Peak — 時間重み付けをかける前の 無加重サンプルの最高値。短い瞬間値を見逃さないよう、ピークは少しの間ホールド表示されます。

4 つの数字の色は、それぞれの値が落ちる帯域を独立に反映します。たとえば Min は緑のまま、Peak が一瞬だけ赤になる、というケースは「この部屋はおおむね静かだが、少なくとも 1 回大音量イベントがあった」ことを示します。

リファレンスチャート

ライブ表示の右側には、「聴覚閾値」から「花火」まで縦方向に並んだリファレンスチャートがあります。現在の読みが入っている帯域には、行頭にチェックマークが表示されます。帯域の色と例示テキストは、測定値が妥当かどうかの簡易チェックに使えます。計器が 30 dB を示しているのに、環境の体感が 70 dB の帯域の説明に近いなら、キャリブレーションがずれている可能性が高いということです(キャリブレーション参照)。

バナー通知

チャートの上には、現在の読みが意味のある帯域に入ったときにコンテキストバナーが現れます。マッチした範囲と短い健康アドバイス(「日常的な活動には快適」「長時間の暴露で疲労する可能性あり」など)を、帯域に合わせた色で動的に表示します。

設定

設定パネル(計器右上の歯車アイコン)はパラメータを 4 セクションに整理しています。デフォルトはほぼあらゆる用途に最適化されています。以下の解説は、「いつデフォルトを変えるか」を判断するためのものです。

周波数重み付け(A / C / Z)

A 特性は低音域を抑える特性で、中程度の音量における人間の聴感に近づけてあります。職業性・環境騒音(OSHA、NIOSH、WHO、ISO 1996)のすべてで標準採用されています。特別な理由がない限り A を選んでください。

C 特性ははるかにフラットで、低音域を保ったまま測ります。コンサートの音響、サブウーファーの出力、衝撃音の測定に向いています。低音が主たる関心事である会場を測るなら、C 特性のほうが A 特性より高い値が出て、現実を反映する数値になります。

Z 特性は無重み付け(フラット)。計器の検証や音響研究に使います。一般利用者が選ぶ場面はほぼありません。

各重み付けの背景にある数学は 科学解説ページ にまとめてあります。

時間重み付け(Fast / Slow / Impulse)

時間重み付けは、表示前にかける指数平均です。

  • Fast(125 ms) — 環境騒音・職業性騒音のほぼすべての測定で標準。会話レートの変動や短いイベントを、ちらつかずに捉えられます。
  • Slow(1 s) — 安定した環境騒音をなめらかに表示。音源がほぼ一定で、安定した数値をログに残したいときに有用。
  • Impulse(35 ms) — はるかに高速な応答。銃声、ハンマー打、爆発などの瞬間音を捉える設計です。短い事象では Fast より明らかに高い値を返します。

迷ったら Fast。瞬間音の特性を明確に把握する必要があるときだけ Impulse に切り替えてください。

スケール(dB SPL / dB FS)

dB SPL(音圧レベル)は標準の物理スケールで、20 µPa = 0 dB を基準とします。本サイトの 比較表 を含め、公開されたリファレンスと突き合わせるべき測定はすべてこのスケールです。

dB FS(フルスケール)はデジタルオーディオ向けのスケールで、0 dB FS は表現可能な最大デジタルサンプル値に対応します。DAW でレベルを見比べたいオーディオエンジニア向けの単位で、参照キャリブレーションなしに物理 SPL と直接比較することはできません。ほとんどの利用者は dB SPL のままで問題ありません。

キャリブレーションオフセット

すべての読みに加算する単一の値(dB)で、デバイス側のハードウェアバイアスを補正するためのものです。スマホやノート PC のマイクは、初期状態で ±10 dB ずれていることがあります。正しい設定手順の全文は キャリブレーションページ にありますが、要約はこうです。本計器を既知のリファレンス(Class 2 騒音計、94 dB SPL の音響校正器、既知の周囲ノイズレベルが分かる静かな空間のいずれか)と並べて 30 秒平均し、差分をここに入力する。

更新間隔とピークホールド

更新間隔は、ライブ値がリフレッシュされる頻度を制御します。デフォルトの 200 ms(Fast)は、応答性と表示の安定性のバランスがよい設定。50 ms(Realtime)は機敏ですがちらつきがち、1 s(Stable)は変動騒音をなめらかに見せます。

ピークホールド時間は、ピーク値が消えるまで何秒間表示し続けるかを制御します。デフォルトは 3 秒、Infinity を選ぶと、リセットするまでピークが残り続けます。

グラフの種類

ライブ値の下のグラフは、信号の時間的または周波数的な視覚化を提供します。4 種類から選べます。

  • Line — 直近数秒の時系列。ラインとその下の塗りはサンプルごとの帯域(緑 / アンバー / 赤)で着色されるので、暴露が閾値を越えた瞬間が一目で分かります。
  • Bar — 現在帯域の色で塗られた、単一のライブバー。一瞥で読みたい場面に最適。
  • Visualizer — 周波数領域のバーチャート(FFT スペクトラム)。レベルへの寄与が大きい周波数帯を特定するのに使います。バーは強度に応じて色付けされます。
  • Spectrum — Visualizer と同じ FFT データを、なめらかなグラデーション塗りのラインで描画。トナル成分の特定に向いています。

デフォルトは Line で問題ありません。低周波の機械うなりが支配しているのか、高周波のヒスなのか、特定の純音成分があるのか — それを切り分けたいときに Visualizer または Spectrum に切り替えてください。

モバイルとデスクトップの違い

iOS Safari、Android Chrome、デスクトップの Chromium / Firefox — どの環境でも本計器の挙動は同じです。ただし実用上の違いはいくつかあります。

  • マイクゲインは端末ごとに大きく違います。 静かなオフィスで 65 dBA を示すスマホが、隣のスマホでは同じ部屋で 75 dBA を示す、ということは普通に起きます。バグではなくハードウェア差です。端末ごとにキャリブレーションオフセットを設定してください。
  • 省電力モードとタブのバックグラウンド化 が音声処理をスロットルすることがあります。iOS は数秒以上バックグラウンドになった Web Audio を停止します。長時間測定では、タブをアクティブのまま維持するか、ブラウザの全画面モードでスクリーンロック抑制を使ってください。
  • Bluetooth ヘッドセット が入力選択を混乱させることがあります。読みが妙に低い、こもっている、と感じたら、ヘッドセットを切断して計器を内蔵マイクに強制してください。

長時間の無人モニタリングでは、待機状態のスマホよりも、蓋を開けたデスクトップ / ノート PC のほうが信頼できます。

トラブルシューティング

スタート時に「マイクが検出されません」と出る

可能性の高い順に:

  1. 許可が拒否されている — URL 横の鍵アイコンからマイク許可をリセットして、再読み込み。
  2. 端末に入力デバイスがない — システムのオーディオ設定で入力デバイスが認識されているか確認。
  3. ページに対するブラウザポリシー — まれですが、アプリ内 WebView などの組込みブラウザは、許可状態に関係なく getUserMedia をブロックすることがあります。
  4. ハードウェアミュート — 多くのノート PC には物理マイクキルスイッチがあります。

表示が 0 dB あるいは極端に低い値で固まる

たいていはハードウェアミュートか、入力デバイスの選択ミスです。システムサウンド設定でアクティブな入力を確認してください。マイクが複数あるノート PC では、ブラウザがデフォルトで意図しないマイクを選ぶことがあります。

数値が乱高下する

多くの場合、ハンドリングノイズです。室内ではなく、本体に触れる手指の音や擦れる音を拾っています。デバイスを安定した面に置き、できれば柔らかい布の上に、マイクを音源側に向けてください。マイクへの風当たりを避ける(フォームのウィンドジャマー、または風のない場所への設置)ことも有効です。

読みがリファレンスの SLM と合わない

ほぼ確実にキャリブレーションです。各端末で キャリブレーション手順 を 1 回踏めば、安定した中域音源に対して Class 2 騒音計から ±2 dB 以内に収まるはずです。

次に読むもの

ここまでで操作マニュアル一式が手元にあります。本計器を最大限活用するために:

Open the decibel meter

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